ブラックホール

書くことで何かを見つける日々です

わたしはモノデスカ?

バイト先には90人ほどの学生がアルバイトとして登録していて、わたしは彼らの名前を全て把握してなどいない。職場では(特定されないよう抽象化した言い方になるが)ひたすら書類に目を通してチェックする仕事をしているので、他人と話をする機会もあまりない。

そのバイト先のとある人からよくラインが来る。その人とはおそらくしっかり話したことはない。少なくとも僕はその人の顔と名前が一致していない。だから、毎回そのラインが届くたびにこの人は何を考えているんだろうと思ってしまう。

そのラインというのは、「〇〇さんからおすすめのマンガが届いたよ!」という文言のもので、多いときでは1日に3通ほど来る(それが今日のこと、最多記録更新)。「〇〇さんからおすすめのマンガが届いたよ!」システムの本当のところはあまり認識していないのだが、きっとこのラインを送ることで無料で読めるマンガの量が増えるのではないかと考えている。一時期ツムツムか何かしらの招待か何かしらのラインがやたら届いたのもそういうカラクリだったはずだ。

別にそういった行為を責めたいわけじゃないが、わたし自身にはそれがなんだか他人をモノのように扱っているように思えてならない。ひたすら「おすすめのマンガ」だけが送られているライン画面を見つめていると、わたしは檻の中に置かれた押したら餌の出る機械のような気分になる。わたしはプラスチックでも金属でもなく、人間だ。人間マンだ。

よくよく調べてみたら、その送り主の彼はもういわゆる社会人として生きているようで、もはや元バイト先の人だった。なんだか悔しい。彼は毎日働いていて、年度始まりの休日に、まとめて漫画を読みたい気分になった。きっと無駄に金を使いたくないのだろう。だから、バイト先の元後輩にラインを送って少しでも多くのマンガを読もうとしている。おすすめ。その逡巡と決断を想像させられるこの時間が、悔しい。